2009年9月30日水曜日

ドクの仕事

あれれという間に、ずいぶんと更新が滞ってしまいました。
おととい札幌に戻ってきました。
ドクの仕事が終わった後、毎日のようにあっちこっちと出かけて友人と会っていたら、最後の方はすっかり疲れ果て、肌も荒れてしまいまだ完全に疲れが取れません。東京にいると人も多いし、空気もあまりよくないし、毎日出かけるだけで疲れるものですね、それだけ札幌の生活に慣れてしまって、都会の生活に戻るのにエネルギーが必要なのかもしれません。

さてさて、ドクのお仕事(9/19-21)は、今回も周りの人たちに恵まれ、楽しく仕事ができました。ドクのドキュメンタリー番組を作っているディレクター、カメラマン、そして通訳の私、の3人が一つのチームですが、その他にも小さいときからドクをずっと撮り続けている写真家の中村梧郎さん、きょうされんの理事の方、ドクの友人たち、某テレビ局のスタッフなど、ドクを取り巻く人々と一緒に仕事が出来たのも、楽しかったです。ドクが周囲の人たちに恵まれているのは、ベトちゃんとつながって生まれたというその境遇に寄るのかもしれませんが、ドクの明るい性格も大きいかもしれません。サッカーを楽しみ、仕事をし、結婚して、今度はお父さんになる、「周囲の"普通"の人たちと同じように生きたい」というドクの生き方が、それだけで周りの人たちに感動を呼ぶのでしょう。

思い返せば、ドクのおかげで私はいろんな経験をさせてもらっている。ドク、中村梧郎さんと一緒にドクの故郷(ベトナムの中部高原、コントゥム省)を訪ねる旅もしたし、何度もホーチミン市のドクの自宅を訪れたり、今年の4月は京都、そして今回は埼玉でドクを支援する人たちの集まりにも参加できた。

「きょうされん」全国大会(3千人くらい?が参加)の閉会式
何度も笑いや拍手が起きたりと大変活気がある。
ちょうどこの日に、障害者の自立を妨げると不評だった(応能負担ではなく、受益負担を導入)
「障害者自立支援法」の廃止のニュースが流れてきた。

「一般就労」という分科会では、障害者の人たちがさっと手を上げて発言して
「自分はコンピューターが苦手なのでバイク便とか肉体労働でがんばろうと思います」
「JRバスのトイレ掃除をしたが、においが大変だった」
「自分は精神障害で結婚していたが離婚してしまった」
「職場の人間関係がうまくいかない」
「遅刻と欠席だけはしないようにがんばった」
など、自分の経験をそれこそ赤裸々に伝えていたのに驚いた。
周囲の理解がないと仕事がどんどん押し寄せて大変になって休みがちになってしまう、とか人間関係がなかなかうまくいかないなど、深刻に聞くと大変な話なんだけど、不思議とあまり悲壮感なく淡々と話している。
ドクたちご一行様、東京タワーのふもとで。
今回お世話になった、きょうされんの副理事長の方が電車の中で話していたことが印象的だった。障害者支援の考え方というのは、例えば足が不自由で歩けなかったら、車椅子を押してあげるとか、できることを基準にそこに到達するためには何の助けが必要か、と考えるとわかりやすいという。例えば健常者であっても、隣にいるベトナム人と話せなかったら通訳の助けが必要だとかそんな風に考えると、必要な援助というものが見えてくるという話だった。そう考えると、例えば赤ちゃんがいて外出できないお母さんには、何かを届ける、赤ちゃんを代わりに見るとか日常の延長線上に障害者支援が見えてくる。インドの経済学者、アマルティア・センのケイパビリティーアプローチと通じるものがあるような気がする。

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