2010年12月25日土曜日

メリークリスマスfrom インチョン

昨日はクリスマスイブということも忘れて、「そうか、今日はクリスマスか」と思い出したのは、夕暮れ時にタクシーに乗ってからでした。

たくさんの人たちに助けられて、調査無事終了しました。

2つめの調査地でお世話になったお宅では、ご飯を食べる場所と豚小屋が、あまりきちんと閉まらないドア1枚で隔てられており、年がら年中、家の中に豚のにおいが充満していた。豚のにおいをかぎながら食事をすることに、最初とても抵抗がありましたが、徐々に慣れてきた。家の建物自体は水洗トイレのある近代的な家であっても、清潔観念の問題で、家が古くても家具の配置などが合理的で居心地のよい家もあるし、新しくても埃っぽく、清潔でない家もある。私が今回ステイしたのはどちらかというと、後者の家でした。こちらが頼んでステイさせてもらっているのだから、文句を言ってはいけないが、でも最初の村のほうが格段に待遇がよく、人々も調査に大変協力的だったので、2つ目の村に入ったときはやりにくくて、元の村が恋しくて恋しくて毎日涙でした。

ハノイの郊外の村といっても、首都の中心部から20キロ離れただけで、そこは都市とはまったく異なる空間です。

この村に最初に入ったのは7年前ですが、7年前より人々はずっと忙しくなっており、農繁期だったので、調査を主にするのは夜。とても親切な生産隊長(という地縁組織の長)のおばさんが、毎日付き合ってくださり、お家で夕ご飯まで一緒に食べさせてもらった上に、その後農家世帯に連れて行ってくれました。農家の人たちは日中はずっと忙しいのですが、夜ご飯を食べ終わると比較的時間に余裕があり、夜7時半くらいから10時くらいまで、近所を訪ねあったり、テレビを見たりしてのんびり過ごします。以前はバイクを持っている世帯は30%ほどでしたが、今はほぼ100%の世帯がバイクを持っているし、この7年で生活自体はずいぶんと豊かになっていました。

でも、バイクを持ってるとか、家が新しくなったとかそういう物質的な面は変わっても、その人のしゃべる言葉を聞けばどこの村の人かわかるという(この村の人はなまりが重いとか特徴がある)村ごとの特徴、均等に分配された農地を耕しながら狭い土地にたくさんの人が生活していて、地縁血縁のつながりを最大限に活用して糧を得ている。こうした人々の関係の緊密さこそが市場経済化の原動力であり、この地域の発展の本質だと思います。それを確認してきたのが、この2ヵ月半の旅でした。