2011年3月23日水曜日

反原発キャンドルディナー

今夜はキャンドルディナー
反原発を食卓からアピールするために
被災した人たち、原発事故で避難や野菜・原乳の廃棄を強いられている人たち、
計画停電の影響を受けている関東圏の人たち、
そして今も福島原発で働いている人たちと彼らの帰りを待ちわびている家族の人たち
皆と思いを共有できますように

ここ数日「原発ノイローゼ」にかかっていましたし、今もかかっています。
北大図書館に行っても、博論執筆は上の空で進まず、原発関連の本を読み漁る始末。

そんな中で「首都圏にいる甥っ子や姪っ子を福島原発からより遠い北海道に呼び寄せたほうが後から後悔しないのでは」と考え、姉や弟に声をかけましたが、今すぐそんな簡単に移動はできないとの返答。確かに、移動して環境が変わるというのは大変なストレスをともなうもので、子どもだったらなおさら。移動に割合慣れている私でさえ、札幌に移動してきたときはそれまで身を置いていた環境から自分がひっぱり剥がされたような「移動の暴力」を感じました。

そして徐々にわかってきたのが、放射能の問題というのは、数日間から1週間そこから逃げれば解決というような性質の問題ではないということ。

原発事故に関する「最悪のシナリオ」は時折見かけますが、「最善でもどうなるか(あとどのくらいこの状況が続くのか)」ということはほとんど誰も教えてくれません。原発にはまったくの素人で、しかも根拠となる情報はここ数日、にわか勉強で仕込んだ原発関連の本数冊、新聞、ネットのみですが、私が今考えるのは、最善のシナリオでも、ここ数日内に全ての原子炉や使用済み核燃料からぴたりと放射性物質の放出が収まるということは難しいのではないか、ある程度長期戦を覚悟しないといけないのではないか、そして、今後長期間私たちは食品汚染など放射能の恐怖とある程度共存しながら生活せざるを得ないのではないかということです。

私のように非常に神経質な人もいれば、弟のように「問題ないから大丈夫だよ」という楽観的な人もいるでしょう。それはそれでいい、ここ1週間くらい、不眠や食欲不振などの原発ノイローゼに悩まされてきた身としては、あまり騒がず不安を増殖させないほうが前向きな時間の過ごし方だとさえ思います。

でもはっきりわかったのは、放射性物質は、土や水に影響を及ぼし、これから長い間そこにとどまること。人間は他の地域や屋内に避難できるけど、土やそこに生えている植物は逃げられない。農畜産物はもちろんのこと、土を直接扱う農家の人たちへの影響が大きく、私たちの食卓を支えてくれている農業に打撃を与えること(道民は冬場は茨城県産の野菜に多くを依存しており、今回被害を受けている茨城県の農家の人たちは文字通り私たちを支えてくれていた)。つまり、私たちがこれから迎える無傷なはずの未来にとんでもない負債を抱えるものだということ。

私のブログの唯一の方針は、自分の作った夕食の記録ですが、それは、毎日囲める食卓に私が大きな価値を置いていることの証明に他なりません。その食卓が放射性物質に汚染されるなんて考えたくもないけれど、それをある程度受け止めなければならない。その受け止めなければならない場所から、原発を推進し途上国に輸出しようとさえしている国、企業、そしてそれを許している社会に対して異議を唱えます。(本当は反原発キャンドルディナー毎日できたらなと思ったのですが、あまりに暗くてカッパさんが食事が楽しめないし、頭痛がしそうだと言われ、確かに食事は目で見て楽しむものでもあるからそれもそうだなと。何か他の方法で反原発をアピールできるよう考えます)

そしてせっかく「原発ノイローゼ」にかかったのだから、のど元過ぎれば熱冷めることのないよう、忘れっぽい自分に自戒をこめて、ここに記します。

あるベトナム研究の先生が「地域学とは地域を愛する学問だ」とおっしゃいました。だとしたら、福島の人たちを地域から無理やり暴力的に引っ剥がしてしまう原発を認めてきたことは、もっとも反地域学的なことではないでしょうか。地域研究者もこういうとき声をあげる必要があるのではないかと思います。

以下はご参考まで、私がここ数日に読んだ本・雑誌です。

・高木仁三郎『市民科学者として生きる』岩波新書 1999年.←反原発運動の中心人物で2000年に亡くなった高木仁三郎さんの自伝。反原発運動を後に展開する高木さんが若い頃は「放射能を怖がっていてはよい研究はできないぞ」と言って後輩に発破をかけていた。専門家だからこそ放射能の恐怖に鈍感になる感覚を、私たち市民はもっと意識してもよいかもしれません。

・高木仁三郎『プルトニウムの恐怖』岩波新書 1981年.←福島原発3号機のプルトニウムを含むMOX燃料のことを理解したくて手に取りました。怖くてまだぱらぱらとしか読んでません。

・高木仁三郎・渡辺美紀子『食卓にあがった死の灰』講談社現代新書 1990年.→今読むにはあまりにセンセーショナルすぎるタイトルですが、90年の時点で日本に起こりうる原発事故を大変具体的にシミュレーションしていることに驚きます。これを読む限りでも今回の事故が「想定外」の事故ではないことが明らかです。食品汚染に関する正確な知識を得るために、小さなお子さんのいるお父さんお母さんは読まれることをおすすめします。チェルノブイリ事故が起こった後、被害を受けた生産者を消費者が支えたことなども書かれています。

・岩波書店『世界』2011年1月号 特集 原子力復興という危険な夢
福島県双葉町の原発依存の財政構造の問題。ベトナムへの原発輸出のリスクに関する記事など

・岩波書店『科学』2010年2月号 特集 プルトニウム科学の現在─何が問われるか


=3月17日(木)のごはん=
*大根とはす入り肉団子の煮物
*ほうれん草のおひたし
*豚汁
*白米

=3月18日(金)のごはん=
*さば焼き
*はすと昆布のきんぴら
*豚汁
*白米

=3月19日(土)のごはん=
*クリームシチュー
*サラダ
*白米

=3月20日(日)のごはん=
*さば焼き、大根おろし
*レタスと油揚げのおみおつけ
*白米

=3月21日(月)のごはん=
*トマトとベーコンのスパゲッティ
*キャベツのスープ
*サラダ

=昨夜のごはん=
*宗八がれい焼き
*きんぴら
*やまと芋ときゅうりの和え物
*にらのおみおつけ
*白米

=今夜のごはん=
*鶏手羽とたまごのしょうゆ煮
*キャベツとあさりのスープ
*春菊の胡麻和え
*白米

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