2011年3月28日月曜日

まとめと対策―放射能による食品汚染―

このところ原発事故のことを考えすぎて疲れてしまったので

昨日は気分転換にカッパさんと百合が原公園に行ってきました。

まだ畑の雪はこんなに残っているけれど、道路の雪はほとんど溶けているので

2人で久しぶりに自転車を走らせました。

北海道もあと1ヶ月ほどで本格的な春がやってくるでしょう。

百合が原公園温室の色とりどりの花をどうぞごらんください。



2回にわたってこちらにアップした放射能による食品汚染に関してですが、これまでのまとめと私の意見、考えられる今後の対策について以下に書きます。

・チェルノブイリ事故のデータは、食品による内部被爆の割合が全体の80%と、外部被曝よりも圧倒的に割合が高かったことを示している。そして食品による体内の被曝は、自身で気をつけることによって減らすことができる。だからこそ、食品汚染に関する基礎知識を持つことが重要。


・被曝量を考えるときに重要なのはトータルで考えること。トータルというのは、2つ意味があって、一つは、1人が1年間に摂取する食品のトータルで計算すること、ほうれん草だけ、牛乳だけで考えるのではないということ。もう一つは食品による内部被曝、皮膚などにつく外部被曝の2つを合わせて考えること。とすると、メディアでよく説明がなされる「放射性物質が検出された野菜を100グラムずつ10日にわたって食べても1年間の許容量の半分に過ぎないので問題ない」などという説明がいかに乱暴きわまりないものかよくわかるだろう。私たちは毎日水を飲み、おコメやパンを食べ、野菜や果物を食べる。仮に1日の摂取食品量を1400グラムとすると、ほうれん草100グラムは14分の1でしかなく、しかも汚染はほうれん草だけにつくものではない。そのほうれん草10回分で、1年の半分に達してしまったら、他の食品汚染や外部被曝を許容する余地はほとんど残されていないではないか。

きのこやハーブなど、放射性物質を取り込みやすい食品群があるが、きのこやハーブは人にもよるが、毎日必ず食べるという人は少数派なのではないか。しかし水やおコメ、野菜などは誰もが毎日のように摂取するため、たとえ放射性物質の量が基準値以下であっても、1年のトータルで考えた場合容易に基準を上回るものになりうるということを考える必要がある。


・どのくらいの放射能を浴びたらどんな影響がでるのかといった危険率の評価については、研究者によって評価が分かれるし、許容量の数値は歴史的にも書き改められてきた。日本が採用している1人1年につき1ミリシーベルトという値に関しても、研究者によってさまざまな見解がある。したがって、危険とみなされる被曝量や食品に含まれる放射性物質の基準値は、多分に政治的なものと理解できる。その証拠に、原発を持っていない国は、非常に厳しい基準値を採用している。国際基準と照らし合わせて日本の基準は厳しいと政府は説明しているようだが、チェルノブイリ事故後の、ヨーロッパ各国の対応を見ると、日本の今の基準がかなり甘めに設定されていることに気づく。例えば日本の基準では乳児の飲料水の基準値は1リットルあたり100ベクレルだが、チェルノブイリ後のオランダは乳幼児食品については40ベクレル、ドイツのヘッセン州は乳幼児に対して1リットル牛乳あたりの制限値は20ベクレルとするなど、おしなべて日本より低い値を設定していた。

・著者によれば、広島・長崎の被曝者たちの発ガン率の統計や、長年操業を続けた原子力施設での労働者の発ガンに関する調査などは、低いレベルの放射線の影響が従来考えられてきたよりはるかに高いことを示唆している。なかなか確定的な結論は得られないが、放射線の危険性がかつて考えられてきたものより高いということは、ほぼまちがいのないことだろうと著者は述べている(もちろんこれに対する反論もあるだろう)。被曝した線量が増せば、その人ががんにかかる確率は増えるが、線量が多いからといってがんの症状が重いということはない。低線量被曝は「しきい値」がなく、したがって、低い線量もけっして「安全線量」とはいえず、なにがしかの危険性(がんなどを起こす可能性)をもっていると考えなくてはいけない。したがって、「避けられる被爆は可能な限り避ける」のが正しい。各メディアが繰り返し発言している「ただちに健康に影響がありません」というコメントは、私は「ただちに何らかの症状が現れることはありません。ただ、将来のリスクはごくごくわずかですが増すことになります」と理解している。


・今、私が危惧しているのが、皆がこの状況に慣れてしまって「基準値以下だから大丈夫」「ちょっとの放射能は体に影響がない」と言って、考えることを放棄すること。被曝に関してきちんとした知識を持つことと、慣れることは別である。政府は食品に含まれる放射性物質の暫定基準値を緩和する方向にあるようだが、これは、命を軽視して、ガン死者が増えても仕方がないと政府が考えていることの表れではないか。もちろん私たちは食べなくては生きていけないし、あまりに厳しい値だと食べるものがなくなってしまうのも確かだし、農家の人もものすごい困っている。でもだからといって緩和した基準値をやすやすと認めてしまってよいのだろうか。「この野菜には放射性物質が含まれているけど、基準値以下だから問題ないよ」と人々が言う国に、外国の人たちが旅行にきたり、留学や仕事に来たいと思うだろうか。

・私が今考えている対策は、①各自が入っている生協や食品の宅配などで皆で話し合って放射性物質の測定器を共同で出資して購入したりして、放射性物質の値を独自にはかり、かつ国の基準とは異なる独自の基準値をもうけて、より安全な指標を持つこと。②福島県や茨城県の農家の人たちと話し合い、どうしたら彼らが安全に農業を再開できるか一緒に道を探ること。それまでの間、他県産のほうれん草198円を一束買ったら、同時にこれまでほうれん草を作ってくれていた茨城県の農家の人に198円チャリンと落ちるような仕組みを構築できないものか。

0 件のコメント: