2009年7月30日木曜日

アイヌ料理講座

最近夜は疲れてすぐに眠ってしまい、更新すべき写真が溜まってしまいました。

7月29日(水)は、生活クラブの「アイヌ料理体験講座」に、札幌の南にある「ピリカコタン」という札幌市のアイヌ文化交流センターへ出かけました。
南北線の終点「真駒内」駅より、バスで40分ほど。
山と河に囲まれた空気のきれいな場所に「ピリカコタン」があります。

アイヌ料理を教えてくださった先生。
市民運動の活動家でもいらして、前の週はニューヨークで行われた女性差別撤廃に関する会議にマイノリティ、アイヌの女性代表ということで参加してきたそう。
お話が楽しく、豪快さと包容力、繊細さを合わせ持ったお人柄、お料理の仕方も油や砂糖をだーっと入れたりダイナミック、もっとお話したかったです。アイヌの家庭に生まれたけれど、家庭ではアイヌの文化のことなど教わらず、24歳からいろいろ学び始めたそうです。

感心&実感したのが、アイヌは山菜などその土地に自生している植物に関する知識が豊富で、それをうまく使って料理するんだな、ということです。もちろん山の近くに住んでいるアイヌと、海の近くのアイヌでは食べるものは違ってくるのでしょうが。
右の写真は「オオウバユリ」。こういうものは売っていないので、全て先生が採ってきてくれたものを使いました。なんと有難い!
オオウバユリは食事に使うだけでなく、粉にして一番粉は薬にしたそうです。

クマ笹をあぶって、煮出してお茶にします。シケレペ(キハダ)の内皮も入れて漢方薬のような少し苦いお茶でしたが、身体によさそうでした。


こちら(→)はシケレペ(キハダの実)。これも採ってきたものですって。
札幌市内で採れる場所も教えてくれたけど、とうてい車がないといけないようなところでした。山椒の実のようなぴりっとした味がする。
         じゃーん!!料理が出来ました。

→オオウバユリの天ぷら。でんぷん質と食物繊維がたっぷり、ホクホクして芋のよう。にんじんの葉っぱも天ぷらにして美味しい。
参加者の方たちはベテラン主婦という感じの方が多く、天ぷらなどお手の物。からっと揚がって経験の差を感じました。天ぷらがうまいって尊敬のまなざしーー

←こちらは先生が持ってきてくださったエゾシカの生肉。うーん、美味しい!!
鹿は血抜きをうまくしないといけないので、先生は腕のいい、決まった猟師からしか買わないといっていた。にんじんを飾ってかわいらしく。

→コンプシト
ゴマ団子と思いきや、昆布たれ団子ですっ。昆布をさっと揚げて、ミキサーで粉状にし、砂糖、塩、紅花油でやわらかく煮たもの。

←プクサラタシケプ(行者ニンニクの混ぜもの)
行者にんにくはニラを少し広げたような葉っぱです。こちらは煮たトラ豆と干しプクサ(干し行者にんにく)と生の行者ニンニクも入れていためたもの。
トラ豆というのを私が初めて知ったと騒いでいたら、周りの人が「本州の方なんですか?」って。北海道ではよく使う豆だそうで、先生によると「トラ豆は豆の中の豆。豆の王者」だそう。豆にトラのような模様があるのでトラ豆と呼ばれる。確かにぷっくりした豆で美味しい。これはカレーなんかに入れてもよさそうです。
行者ニンニクの旬は春でもう今は出回っていないのを、先生は冷凍したものを持ってきてくださった。旬の時期には行者ニンニクを干して保存しておくそうです。行者ニンニクはこれまで買っても、卵と一緒にいためるくらいしか使い方わからなかったけれど、こんな風に豆と一緒にいためると美味しいです。

→こちらは「行者ニンニクの醤油漬け」
行者ニンニクをさっとかるくゆで、あく抜きしてから、めんつゆに2分程度漬け冷凍保存したもの。これも先生が仕込んでおいたものを持ってきてくださった。美味しかった。
・プクサご飯(行者ニンニク要れご飯)しかもヒエや粟も入っております。風味豊か。行者ニンニクは独特の風味と旨みがあるので、料理に入れると食欲がそそられます。
・ヤムオハウ(冷汁)
これも美味しかった!昆布と煮干で出汁をとっておいて、乾燥タラ、長ネギ、にんじん、ニリンソウ、行者ニンニクなど千切りにしていれ、わかめも入れる。塩水で味を調える。
・ラタシケプ(混ぜ煮)
生とうきびやトラ豆、かぼちゃ、シケレペ(キハダの実)、クルミなどを一緒に煮た。甘くてピリッとキハダの実の香りがした。
いろんな料理に油をたっくさんだーーーっと入れます。油をたくさん取ることによって、厳しい冬も元気に過ごすことができたそう。油が今のように売っていない時代は魚や動物から脂を取っていたそうです。
今日のような料理を毎日食べていたわけではなく、こうした料理はご馳走で、熊おくりの儀式のときなどに作ったそう(熊が3歳になるまで家族の一員のように過ごし、3歳になったら殺して熊送りの儀式をした。今65歳以上の人は小さいとき熊と一緒に眠った記憶のある方もいるそう)

食事の後は、ピリカコタンの中を見学。
チセ(アイヌの家屋)などがある。
展示室にあるアイヌ文様の鉢巻。
アイヌ文様はデザインとして本当に格好いい。こういう文様を今風にアレンジして、商品化できるのではないかと思います。
こちらは前掛け。
この文様もいいですね。




展示室の様子。



講習の後は、すぐ隣にある小金湯温泉で、温泉に入って帰りました。アイヌ料理は美味しかったし、話も聞けて参加してよかったです。生活クラブはいろんな企画があってとても勉強になる、入ってよかったです。
ちょうどこの29日に、アイヌに関する有識者懇談会が報告書を提出しました。翌朝の新聞を見たら、料理を習った先生のコメントも載っていました。
2008年6月に「アイヌ民族を先住民族とする」決議が採択され(今頃になってーーーという感もする)、それから有識者懇談会が開催されている。先生の話では、自分は自費でニューヨークの会議にも参加できるが、周りのアイヌの人は決してそんな状況ではなく、苦しい状況で生活している人も多い。最近行われた調査でも、アイヌの人たちは経済的に苦しく、大学進学率も道内平均と比較して低いという結果も出ています。
こういう結果をどう政策に生かしていくか。
この「ピリカコタン」は、札幌市の施設だけれど、たぶん博物館のように専門の学芸員などいないのか、展示内容についてもアイヌの道具について示しているだけで、中途半端なものを感じました。アイヌの風習について「そうなんだ」と終わらせてしまうものでなく、歴史や言語、和人との関係、現在のアイヌの状況などについても想像力を働かせられるような内容にできないものか。染色室やお風呂など、当初意図があって作られたものも、使われていないということでした。
29日は疲れて、アイヌ料理で持ち帰ったもので済ませました。カッパさんも味見して美味しいといっていた。
=7月30日(木)の夕食=
*時鮭の包み焼き、トマトとジャガイモ(北あかり)の素焼きを添えて
*かき揚げ(にんじん、玉ねぎ、じゃこ、甘エビ)
*もろきゅう
*冷奴
*豆苗のおみおつけ

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