2009年10月30日金曜日

取材4日目

おとといはいろいろなことで暗い気分になっていたが、昨日の午後、フォトジャーナリストの中村梧郎さんがサイゴンにやってきてお会いし、取材班の空気も軽やかになった。梧郎さんはベトナム戦争中からベトナムで写真を撮っていて、戦後は枯葉剤被害者やドクの写真をずっと撮り続けている。戦争被害者の写真というと、痛々しい目を背けたくなるようなものを想像するが、梧郎さんの写真は、撮られる人の美しさや優しさが伝わってきて、そこから一層戦争の悲しみが伝わってくる。梧郎さんの本、『母は枯葉剤を浴びた』岩波から文庫で出ているのでぜひ手にとっていただきたい。

梧郎さんはドクが1歳くらいのときからずっとドクの成長を見守っている。ドクの子どもが生まれたと聞いて、すぐにチケットを取って駆けつけた梧郎さん、なんとご自分の初孫が先週生まれたそうだが、お孫さんの顔を見ないうちにベトナムに飛んできてしまったという。梧郎さんにとって、ドクの子どもはそれこそ孫みたいなものなのだろう。

今日は、戦争博物館の前で外国人観光客相手に「枯葉剤被害者の結合双生児ベトドクのことを知っていますか?」と街頭インタビューをした。多くの西洋人は、ベトちゃんドクちゃんのことは知らないけれど、枯葉剤被害については知っており"America crazy"とか「二度と起こしてはならない」とかいろいろ意見を言っていた。でも一人のアメリカ人に「枯葉剤についてどう思う?」と言ったら「別に」という答えだった・・・アメリカ人よ、もっとこの戦争博物館に来てちゃんと勉強してほしい!しかし、私たち日本人が韓国や中国、東南アジアにある戦争博物館で、第二次大戦中の日本軍の行為に関する資料を見た後、こんな風に突然インタビューされたらなんと答えるだろうか。

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